君との恋のエトセトラ
「はあ、素敵だった…」

場内が明るくなると、凛は涙を拭って呟く。

ストーリーはありがちだったが、俳優達の機微な感情の表現が素晴らしく、音楽も印象的で凛はうっとりと酔いしれた。

「そんなに良かった?泣いてるのは凛ちゃんだけみたいだけど」

木原に言われて、え?!と凛は周りを見渡す。

確かに他の観客は皆、何事もなかったかのように席を立って階段を下りていく。

「やだ、何だか恥ずかしい」
「あはは!凛ちゃんは涙もろいんだね」

それなら、あの時の涙も気にすることないか…と、木原は小さくひとりごちる。

「え?何か?」
「ううん、何でもないよ。さ、ランチでも食べようか」
「はい」

ようやく二人も席を立った。
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