君との恋のエトセトラ
「凛。毎月ここに帰ってこよう。お父さんの月命日に」

ようやく笑いを収めた凛に、航が真剣に切り出す。

「え、毎月?そんな、航さん忙しいのに」
「忙しいなんて、そんなの言い訳にもならないよ。凛の元気な姿をお父さんに見せてあげないと。いつなの?月命日」
「えっと、25日」
「そう。じゃあ、毎月その前後に帰ってこよう」

そして航はふと思い出した。

「凛。2034年のクリスマスは、みんなでここから満月を見よう」
「え?…あっ!そうか、クリスマス満月!」
「ああ。ここで、お父さんとお母さん、杏ちゃんも一緒にみんなで眺めよう。その時には…」

航はそこで言葉を止めた。

「その時には、なあに?」
「うん。その時には、俺達の可愛い子どもも一緒かもね」
「子、子ども…」

凛は頬を赤らめてうつむく。

「それは、コウノトリのご機嫌次第よね?」
「えっ!まさか、凛。赤ちゃんはコウノトリが運んでくると思ってる?」
「そ、それはさすがに思ってないけど。でも、あの、実践はしたことなくて…」
「は?実践?!」

航は思わず声を上げて仰け反る。

「もう!そんなに驚かなくても…」
「ご、ごめん」

しょんぼりとうつむく凛を、航は優しく抱きしめた。

「凛、大切にする。ゆっくりでいいから、俺だけの凛になってくれる?」

凛はぱちぱちと瞬きしてから、恥ずかしそうにコクンと頷いた。

「ありがとう、凛。あー、どうしよう。可愛くて我慢出来ない。お父さん、すみません!ちょっとだけ…」

そう言うと航は凛の頬に手を添えて、そっと優しくキスをした。
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