君との恋のエトセトラ
航は相変わらず営業一課のトップで、忙しい毎日を送っていた。

高井不動産の新築分譲マンションの広告は山場を迎え、帰宅も深夜になる。

だがマンションに帰れば凛の美味しい夜食を食べて、心身ともにホッと安らいでいた。

シャワーを浴びてから寝室に行き、そっとベッドに近づいて凛の隣に潜り込む。

結婚当初、どんなに遅くなっても自分の帰りを起きて待っていた凛に、航は「0時前には必ず寝ること!」と約束させた。

ちゃんとその約束を守っているのだろう。
今も、スヤスヤとよく眠っている。

航は凛のあどけない寝顔に微笑みながら、そっとその髪を撫でた。

(可愛いなあ。見てるだけで癒やされる)

思わず顔を寄せて、額にチュッとキスを落とす。
すると凛は、ん…と小さく声を洩らして目を開けた。

「…航さん?」
「ごめん、起こしちゃったね」
「ううん、お帰りなさい。会いたかった」

優しく笑いかけてくれる凛に愛おしさが込み上げてきて、航は思わず凛に覆いかぶさりキスの雨を降らせた。

「んっ、航…さん」

吐息混じりに名前を呼ばれ、航はますます強く凛を抱きしめる。

首筋に沿って唇を移動させると、凛は顔の横でシーツをキュッと握りながら仰け反って航のキスを受け止めた。

艶めかしい凛の色っぽさに、航は何も考えられなくなる。

右手で凛のパジャマのボタンを外していき、すぐその後を唇で追いかけていく。

凛の豊かな胸の谷間に顔をうずめると、そこから妖艶な色気が立ちのぼる気がした。

余裕がなくなった航は、自身も着ていたTシャツを荒々しく脱ぎ捨て、凛と素肌を合わせる。

心地良く、温かく、愛しくて切ない…

溺れるとはこういうことなのだろう。
航はむさぼるように凛の身体を求め、胸にかき抱き、凛の身体の奥深くに愛を刻み込んだ。
< 165 / 168 >

この作品をシェア

pagetop