君との恋のエトセトラ
第五章 二人の生活
航が運転する車は、15分程で大きなショッピングモールに到着した。

「わあ、すごいですね。色んなお店が入ってて…」
「うん。スーパーの買い出しの前に、どこかでランチにしない?」
「はい!」

広い通路の両サイドに並ぶ洋服や雑貨の店に目を奪われながら歩いていた凛は、ふと、店頭のブラックボードに描かれた美味しそうなオムライスのイラストに目を留める。

「この店にする?」
「え?あ、はい。いいですか?」
「もちろん」

航に続いて明るい雰囲気の店内に入り、早速凛はメニューを開いた。

「あ、これ!憧れのトロトロ卵のオムライス!」
「ん?何それ」
「テレビでよく見かけるでしょ?オムライスの上に半熟の卵を載せてナイフで切るの。そうすると中からトローッて卵が!」

凛は頬に手を当ててうっとりと宙を見つめる。

「しかもね、更にその中からデミグラスソースが出てくる時もあるの!ふわー、トローッて。最初に見た時はもうびっくり!はあ、夢の国の食べ物みたい…って」

ぷっと小さく吹き出してしまい、航は慌てて下を向く。

「本当に出てくるのかな?現実の世界でも、ふわー、トローッて」
「くくっ…、うん。じゃあ頼んでみよう」
「はい!」

オーダーした後もワクワクと待ち切れない様子の凛に、航は必死で笑いを堪えていた。

「お待たせ致しました」
「はい!ありがとうございます!」

やがてオムライスが運ばれてくると、凛は目を輝かせてまじまじと見つめる。

スタッフは凛の前に皿を置くと、小さなナイフでオムライスの上の半熟卵に切り込みを入れた。

卵が左右にふわっと広がり、中からデミグラスソースが溢れ出すと、凛は目を丸くしながら口元に手をやって息を呑む。

航はひたすら肩を震わせて笑いを堪えていた。
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