君との恋のエトセトラ
定時で上がった凛は、そのままマンスリーマンションの最寄り駅に向かう。

何度か乗り換えながらガタゴトと長い時間電車に揺られ、ようやく駅に着くと、改札を出てすぐの弁当屋に入った。

「いらっしゃい!」

カウンターにいた割烹着姿の女性に威勢良く声をかけられ、凛は頭を下げる。

「こんばんは。あの、今朝お電話を差し上げた立花と申します」
「あー!バイトの面接ね。ちょっと待ってて。あんたー!アルバイトの女の子。採用してもいい?」

は?!と凛は目を丸くする。

あいよー、と厨房から返事が来て、女性はにっこり凛に笑いかけた。

「はい、採用。明日から来られる?今みたいな時間から22時くらいまで手伝ってくれると助かるんだけど」
「あ、はい!かしこまりました。よろしくお願い致します」
「じゃあ、また明日。あ!これ持って帰って」

そう言うとレジの前に並べていた弁当を一つ取り、袋に入れて凛に差し出す。

「うちの一番人気。チキン南蛮弁当」
「え、頂いてもよろしいのですか?」
「どうぞー。味見してね」
「ありがとうございます!」

凛は笑顔で勢い良くお辞儀をした。
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