君との恋のエトセトラ
第二章 歓迎会
「それでは、我が営業一課に来てくれた初の女の子!凛ちゃんを歓迎して…」

「かんぱーい!」

居酒屋に顔を揃えた営業部第一課のメンバーが、口を揃えて高々とグラスを掲げる。

夜の7時半に始まった凛の歓迎会では、行きつけらしい居酒屋の広い和室に30人近くが集まっていた。

皆はグラスを手に、次々と凛に声をかけにくる。

「いやー、こんなに若い女の子が来てくれるなんて!うちの一課も明るくなるな」
「外回りするのが嫌になるよ。なるべくオフィスに戻ってくるようにしよう」
「凛ちゃん。俺、木原(きはら)って言うんだ。よろしくね」
「あ!お前、ズルいぞ。じゃあ凛ちゃん。これ、俺の名刺。電話番号も書いてあるからね」
「お前の方がズルいだろ!」

周りを取り囲まれ、ひっきりなしに話しかけられて、凛は目を白黒させながら返事をする。

なんとか顔と名前を覚えようとするが、グラスにビールを注がれては飲み、また注がれては飲み、と繰り返しているうちに、一気に酔いが回ってしまった。

(えっと、もう、誰が誰だか…。今夜はとにかくこの場を凌ぐだけにしよう)

そう思い、凛はひたすら笑顔で受け答えしていた。
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