君との恋のエトセトラ
しばらくすると、ブルッとポケットの中でスマートフォンが震え、航は急いで取り出して通話ボタンをタップする。

「もしもし木原?遅いぞ!」

声を潜めながらも、第一声は思わず強い口調で咎めてしまう。

「悪い、気づかなくて。凛ちゃんは?」
「今はよく眠ってるが、まだ熱が高い。お前、すぐに迎えに来い」
「いや、そのままお前のところで休ませてやってくれ。今は動かさない方がいいだろう」
「そうだけど、せめてそばについててやれ。タクシーでこっちに来い」
「航、すまん。そのままお前が看病してやって欲しい」
「は?何言ってんだ。大事な婚約者だろ?お前がついててやらなくてどうする」
「とにかく今日のところは頼む。明日また連絡するから。じゃあ」

そう言うとプツリと電話は切れた。

「はあー?!」

航は怒り心頭に発する。

だが、ん…と凛の苦しそうな吐息が聞こえ、慌てて枕元に戻った。

「頑張れ、俺がついてるから」

一睡もせずに、航は凛のそばで看病し続けた。
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