続・小さな恋のメロディ~貴方が好きです~
少し眺めると、工場で働いている若い男の子に声を掛けた。


「すみません、哲平さんは…?」

「……?あっ、社長ですか。呼んで来ます。すみません、お名前は?」

「東…城…です」

「ちょっと待ってて下さいね」


そう言って男は家の方に入って行った。

私は大きく深呼吸をする…。

社長か…。


この家も、
哲平も、
あの頃とは違う……。

時間は確実に流れていた事に、やっと気付いた気がした。


何故だろう?
哲平が遠くなった気がして、少し寂しいんだ…。


「綾香」


哲平が私を呼ぶ声は変わってないのに…。


「これ、パパに頼まれて」


パパに頼まれた物を哲平に渡すと、哲平が言った。


「上がっていくか?」

「でも…」

「耕平とお袋が上がって貰えって」

「…うん」


哲平に言われるがまま家に上がると、あの頃より少し年を取ったお母さんと、大きくなった耕平くんが出迎えてくれた。


「久し振りね。元気だった?」

「…はい。あの頃は…色々迷惑を掛けて、すみませんでした」

「いいのよ。又来てくれるなんて思ってなかったから、嬉しいわ」

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