【中編版】スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。




  ***


 それから上生菓子を食べたり、話をしたりして少しだけ参加していらっしゃる方とお話をしてお開きになった。


「……お疲れだね、大丈夫?」

「はい、すごく緊張して……」


 車に乗ると、緊張とかが抜け落ちたみたいで和成さんがいるのに脱力してしまった。


「初めての場所で空気に慣れてないから余計にだと思うよ」

「そう、ですね……あはは」


 それもあるけど、和成さんを狙っている女性らに詰め寄られたのもある。
 彼が席を外しているうちにドバッと皆が寄ってきたんだよねぇ……下手なことは言えないし、めちゃくちゃ怖かった。


「疲れたけど、とてもお茶は美味しかったです。私、お店で出したりしていたけどあんなふうには全然できなかったから」

「そうか、チカも喜ぶよ。近々、会う約束しているから言っておくよ」

「はい、よろしくお願いします」


 私は和成さんとお話ししながら、ウトウトして車の揺れが気持ちよくて寝てしまった。




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