拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
 結果的にお姉様の助言をはねつける格好になった。けれどそれは、こんなに激しく拒絶されてしまうほど、悪いことだったのだろうか。分からない。
 力なく廊下に立ち竦んでいたら、ラーラがやって来て私の足にスルリと尻尾を絡ませながら、温かな体をすり寄せた。
『みゅー《元気出して》』
 これまでも、なんとなく察しはついた。だけど今は、その声が《元気出して》と言っているのが分かった。
「ありがとう、ラーラ」
 ……不思議ね。でも、もしかすると弱った心が幻聴を聞かせているのかもしれないわね。
 そう納得し、しゃがみ込んでそっと胸に抱き上げたラーラはふんわりと柔らかで、お日さまの匂いがした。少しだけ、沈んだ心が慰められた。
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