拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
 聞き終わっての俺の第一声に、彼女は引き締まった表情で頷く。
 事の本質を見抜く彼女の慧眼に感服する。一見あどけなく儚げな少女は、その内に強くしなやかな心を持っているのだ。どうしようもなく惹きつけられる。
 ティーナの魅力に絡め取られた俺は、もう一生彼女から目が逸らせない。
 椅子から立ち、まばゆいばかりの俺の聖女に跪く。
「ファルザード様!?」
 スカートの裾を戴き、宝物に触れるようにそっと唇を寄せる。
 俺はこの後、命ある限り彼女を尊び敬って過ごしてゆくだろう。それこそが至高の喜び。
「ティーナ、愛している。どうか一生涯、俺の隣にいてほしい。俺には君が必要だ」
 大きく瞠られた水晶みたいな瞳には、俺だけが映っている。たったそれだけのことが、苦しいくらいに嬉しい。
 救国の聖女だろうが、国にはやらん。彼女は、俺のものだ。だが、彼女が暮らすこの国を健やかにしたいから、俺は精いっぱい力を尽くそう。
 俺の胸に新たな誓いと決意が満ちる。
「俺は弱虫だからな、君がいてくれないと歩けない」
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