拝啓、親愛なるお姉様。裏切られた私は王妃になって溺愛されています
 そうなのだ。ザイオンとラーラもついに人間でいうところの夫婦になったのだ。
 ちなみに求婚は、肝心要で煮え切らないザイオンに痺れを切らしたラーラからだったらしい。ラーラは《腰抜けなところが好きなの》と、いつかと正反対のことを言っていた。
 この発言は、そっと私の胸に留め置いた。
「へーっ! なるほどね、あの二匹もよく引っ付いていたもんな。そっか、新婚さんか~。きっとそのうち、可愛い子ネコが生まれるかもな!」
 二匹のもとに生まれるとしたら本当は卵なのだが、大切な愛の結晶という意味で大差はない。
 無意識にファルザード様との愛の結晶が宿るまろい膨らみに手をやれば、偶然同じタイミングで伸びてきたファルザード様の手がそれに重なった。
 ……嘘。示し合わせたわけでもないのに。
 重なる手と手に、重なる想い。あふれるほどの愛おしさに、ジンと胸が熱くなった。
「えぇ、きっとさぞ可愛いでしょうね」
 精霊が実は卵生であることは内緒にして微笑んだ。ミリアもファルザード様も、明るい話題に笑みを浮かべていた。
 その時、吹き抜けていく初夏の風が新緑の色に染まった木々の葉を揺らし、私たちの頬を優しく撫でる。爽やかに香るその風に、私は無意識のまま大好きなみんなの笑顔を思いながら祈りを込めた。

 デリスデン王国に住まうすべての人が、大切な誰かと共に愛と笑顔にあふれた日々を送れますように──。

END
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