キラキラ王子様系男子の秘密を知ったら実はアブナイオオカミでした?!


土曜日。先輩の家でお菓子を作る当日を迎える。昨日の夜よく考えたら付き合ってもないのに年上の男子の家だし、それってやばくない?!ってなって、しかも私服だから何着ていこうか迷いすぎて、結局あんまり寝れなくて、起きてクマを隠すのに必死になってどたばたしてしまう。早朝から慌ただしい私に、ありすが
「うるさいよ……」
と寝ぼけながら言うがおかまいなしだ。だって、だって、先輩と二人っきりで!しかも!家!あの時の私はどうかしてたんだ……。よく考えちゃダメだ。

支度に時間を使いすぎて、ご飯もまともに食べられず寮を飛び出す。我ながら馬鹿だな、と思うが遅刻したくは無い。先輩にマップを送ってもらったが、入り組んでいて迷いそうになりながら、先輩の家に辿り着く。

「はあはあはあ」
息を整えて、覚悟を決めてインターホンを押す。
ピンポーン。
「はあい」
先輩の声がする。ガチャリ、と扉が空くと、私服の先輩……!!初めて見た。白にロゴの入ったTシャツにジーパン。ラフだけど似合っててかっこいい……。
「さ、どうぞどうぞ」
「おじゃまします」
「おばあちゃんいるけど気にしないでね」
先輩の言葉にちょっとほっとした。誰もいなかったら、もう、料理どころじゃないもん。一つ屋根のしたりに二人きりなんて……ねぇ?ドキドキなんてものじゃない。
「おや、ガールフレンドかい」
私たちの前に来たおばあちゃんは、私を見てそう言う。
「後輩だよ、今日はうちで一緒に料理を作りに来たんだ…って言うの2回目だけどね」
と悠斗は笑う。うちの実家にもおばあちゃんいるけどこんな感じだったなあ、と思った。私が何かする度に褒めてくれて、連れてきた男子友達を、婚約者なんて言って。あれは恥ずかしかったなあ。……なんて思い出してる場合じゃないや。
「輝、じゃあカバンはこっちに置いて」
「はい」
「ん、じゃあそこでテレビ見てていいよ〜準備するから」
そう言って悠斗はエプロンをつけ、キッチンに向かう。リモコンが置いてあるが、こういうとき、見ていいものなの?!わかんなくて、座ったまま時が経つ。
「見なくていいの……?暇じゃない?」
悠斗に言われ、たしかに、と私はテレビをつけた。おばあちゃんはいつの間にかいなくなっていて(散歩かな?)実質二人きりの空間にお笑い芸人の声が響く。
「悠斗先輩ってお笑いとか見るんですか?」
「見るよ〜ow1とか大好きで毎回録画してる」
「へぇ、意外です。私もたまに見ますね、お笑い。でも、ドラマが多いです」
「どんなドラマみるの?」
「恋愛物が多いですね、あとはミステリーも好きです」
「そっか、僕恋愛物はあんまり見たことないなあ」
オープンスクエアで話すように、他愛のない話をする。しばらくして悠斗がキッチンから顔を出す。
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