キラキラ王子様系男子の秘密を知ったら実はアブナイオオカミでした?!

私はそう思った。そんなの許されるわけないし……!いつまでもバレずに続くわけない。それに彼のことを本気で想っている女の子もいるはずだ。可哀想すぎる。
「じゃあ、君が代わってくれるのかな?」
「……え」
「僕の欲求は、誰かとそういうことをしないとおさまらない。今の状況を変えるには、誰かひとりに限定するってことだよね」
「それで、なんで私……?!」
「ふぅん、ダメなんだ。……君、僕のファンじゃないんだね」
……。かっこいいとは思った。思ったけど……!こんな非道(?)なことしてて、しかも今日会った相手にそういうことを言う人間のファンになんて一生ならない!
「あなたのファンが可哀想だと思う」
私がそう口走ると、彼は少し悲しそうな顔をしていう。
「じゃあ僕はどう生きたらいい?……本能には逆らえないのに。君たちが、ご飯を食べて寝るように、僕は満月の日に発情する。……どうしようもないことだと思わない…?」
「……。」
そう言われると、それはそうだ。彼の性格が悪いわけでもないのだ。誰彼構わず襲うよりはいいのだろうけど、ううん…。私は悩みこんでしまう。
「君、面白いね」
彼が笑う。
「僕なんかにそんな真剣になって」
「だって、こんなの聞いたら考えちゃうじゃん。最前の方法、何かあるといいんだけど」
すると彼が言う。
「……ファンをいいように使うことが問題なのは僕もわかってるんだ。じゃあファンじゃない君なら問題ないよね」
「は?」
「君がいいなら、満月の日の僕の発情を、抑えてくれないかな?」
「え、それって」
「抑えてくれたら、なんでもいいよ。そういうことじゃなくても、何でも構わない。ああ、痛いことはやめてほしいけど」
「…………」
「でもまあ、殴って収まるなら、殴ってくれてもいいから」
そう言う彼の顔は真剣だった。彼も悩んでいたのかもしれない。私は、そんな彼に少し同情のような感情を抱いてしまった。だから、
「いいよ、わかった、絶対、そういうことはさせないから」
と承諾してしまった。
それが始まりになるとも知らず。

「それと、君、一年だよね。僕、三年だよ…?」
はっ。そうだ、突然のことすぎて思いっきりタメ口だった。
「すみません……!」
彼はふふ、と笑いながら
「いいよ、別に。それで君、名前は?」
「月川 輝です」
「輝ね。僕は、大雅 悠斗。よろしくね」

奇妙な出会いは運命の歯車を動かしていく。
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