キラキラ王子様系男子の秘密を知ったら実はアブナイオオカミでした?!


その日の夜、部屋で気が付いた。あれ?!予習しようと思ったのに教科書忘れた…。まだ開いてるかな。20時だし、取りに行っても大丈夫なはず。近いのは寮生の特権だよね。開いてなかったら諦めよう。別の部屋に遊びに行っているありすに書き置きをして、私は部屋を飛び出した。

「開いてる…」

電気は消えていたが、まだ鍵は開いていた。職員室の電気はついている。中から笑い声が聞こえてくる。ささっととって帰ろう。バレたら怒られるかもしれない。私は急いで教室まで行き、机から教科書をとると、近道をするためオープンスクエアを通って昇降口まで行こうとする。オープンスクエアは、開けていて、昼間は生徒の憩いの場だ。大きなガラス張りの窓から月光が差し込んでいて、とても綺麗だ。
(今日は満月なんだ……ここから見る月がこんなに綺麗なんて私しか知らないかもね)
教科書をとりにきて正解だったな、と思いながら私は窓を眺めていた。すると、
「あ……」
女子の声がする。前を見ると、奥の円柱のオブジェの裏に人影がある。こんな時間に、何をしてるんだろう。私は、少しだけ不安になりながら影の方に進んでいく。
「……!」
見ると、月明かりが差し込む中、目が金色に光り、耳としっぽが生えた少年が、少女の首筋にキスをしていた。少年はこちらに気付くと、少女を解放する。開放された少女はふらふらと外へ出ていく。
光に照らされた少年の顔を見ると、あの王子様と呼ばれていた少年だった。私は足がすくむ。
(まだ、ここにもいたのか……!)
少年の耳としっぽが揺れる。動けなくなった私は、気がついた時、彼と対面していた。
「何を、してたの」
私は問いかける。
「本能」
と彼は答えた。しゅっと彼の耳としっぽが消える。それが偽物では無いことがわかる。
「……やっぱり、そうなんだ」
やはり彼はオオカミ族の生き残り。私がそれに気付いていると分かると、彼は口を開いた。彼によると、
かつて、オオカミ族は人間と共存していた。しかし、満月の夜の夜になると人を襲うため、悪者とされ捕らえられ、徐々に数が減っていき今ではほとんど聞かなくなった。
彼も同じで、満月の夜になると、無作為に人を食べちゃう……つまり発情して襲ってしまうため、フェロモンでファンクラブの女の子をとっかえひっかえしているらしい。フェロモンがきれると記憶を失うため、今のところ問題は起きてない。
らしいが……。
「いつか刺されるよ」
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