Hush night
そして何やら店員さんに耳打ちした彼は、店内にわたしを置いて車に乗り込もうとした。
……ど、どうして、置いていくの?
びっくりして麗日を引き留める。
「れ、麗日……」
「あーちょっと俺は先に戻ってるから。じゃ、花辻さん頼んだよ」
「ええ、承知致しました」
さっさと店から出て行く麗日に唖然としていると、優しそうなマダム……花辻さんという名らしい店員さんが、わたしに微笑みかけてくれた。
「麗日様は、うる様のことをお気遣いなさったそうですよ」
「わたしの、こと……?」
「ええ。ランジェリー類を買うのに自分がいたら心が休まらないだろうと思われたようです」
わたしが欲しい物を言わないせいで、麗日に余計な気を遣わせてしまったらしい。
でも正直下着はないと困るし、麗日がそばにいたら恥ずかしくて買えないと思う。
女心がわかりすぎて悔しい……と思いながらも感謝して、店員さんにおすすめを教えてもらって購入することができた。
そうして車に戻ると、麗日は誰かと通話中だった。
寂しいな、と思いつつシートベルトを締めていると、彼は電話しながらわたしの頭を撫でた。
おかえり、と言うような優しい温もりに、思わず頬が緩む。