世界で1番泣き虫なキミを愛し続けると誓う
#6 幸せな時間
【彼side】

紅嵐から連絡があってすぐ病院に駆け付けると、集中治療室の前のソファで項垂れるようにして座っている海月とその後ろの壁にもたれ掛かるようにしている紅嵐の姿があった。

集中治療室のガラスの向こうには沢山の機械に囲まれて大人しくベッドに横たわっている羽瑠の姿があった。

頭はぐるぐるに包帯が巻かれていて、見るに堪えない姿だった。

「羽瑠……」

「危険な状態で、意識も戻るか分かんねぇ、って。さっき医者が」

紅嵐が後ろでそんな残酷なことを俺に教えた。

「なんだよそれ…」

事故の時紅嵐と海月は、たまたま羽瑠と一緒にいたみたいだが、一瞬離れたその隙にこんなことになったらしい。

話を聞くとトラックに轢かれそうになった小さな男の子を庇った、とかどうとか。

責任に押しつぶされるようにさっきから海月が泣いているが、どう考えてもこれは俺のせいだ​。

俺が、先に1人でホテルを出たから…。

一緒に帰ってやってれば、こんなことには……。

「結星」

紅嵐が気まづそうに首の後ろを触りながら俺の名前を呼んだ。

「あのさ、お前……昨日羽瑠ちゃんと会ってた?」

「……」

紅嵐のその質問に、その場にいた海月も「え……どういうこと…?」と声を漏らし俺を見つめた。

「本人は迷子って、泣いてたけど…、首…すげぇついてたから……。その………、お前以外いねぇだろ」

それだけ言って視線を落とした紅嵐。

隣の海月はどっかオブラートに包んだその発言の意味が分からなかったようで首を傾げた。
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