意地悪で優しいあなたの溺愛

保健室

目を開けると目の前に左京くんの顔があった。

「さ、きょうくん?」

目をつぶっているので眠っているようだ。

私の眠っていたベッドに突っ伏している。

普段緩んだ顔を見ない分、眠っている顔はすごくあどけなかった。

体を起こしてみると体調はずっと良くなっている。

「左京くん」

小さく声をかけてみる。

「……ん?、くるみ?」

開いた目はトロンとしていて潤んでいる。

「ふふっ、くるみだ」

寝起きとは思えないような力で腕を引かれた。

次の瞬間、私の体は左京くんの腕に包みこまれていた。

「くるみ、かわいいね」

「っ、左京、くん」

当然、男に免役があるはずはないので顔が真っ赤になる。

「もう、はれないから」

私の肩にぐりぐりと額を押しつける左京くんは犬のようだ。

不覚にもかわいいと思ってしまった…

いや、そんなことより、普段の左京くんならこんなことしない。

寝ぼけているのだろうか。

「左京くんっ!起きて!」

「んー?おきてるよ?」

絶対、起きてない。

まず、“んー?”と言う時点でおかしい。

「さきょ…」

“ガラガラガラガラ”

扉が開く音がした。

「ちょっ、左京くん、離して」

「やだ」

ベッドのカーテンの内側まで覗く人はなかなか居ないだろうけど、ばれてしまいそうでドキドキする。
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