意地悪で優しいあなたの溺愛
額がコツリと触れ合う。

「胡桃が好きすぎておかしくなりそう」

左京くんの目は本気だった。

「私だって左京くんに触られてるとき、ゾワゾワするのに嬉しくて、もうよくわかんない」

互いの吐息を感じる。

向かいあっているだけじゃ物足りなくて、自分から目の前の唇に口づけた。

触れているうちにもっと、もっと、と貪ってしまう。

歯がぶつかり合ってガチリと音を立てた。

左京くんが伸ばした舌が私の口内に入ってくる。

「ぅん、ふぇ、」

私と左京くんの境目がわからなくなりそうだ。

左京くんの舌が私の舌を翻弄する。

追いかけたら逃げられて、逃げたら追いかけられて。

「っ、ふぁっ、」

どろどろに溶けてしまいそうだ。

左京くんと私の唇が離れた頃には私の息はマラソンをしたときより上がっていた。

左京くんは一切息が上がる様子はないものの、頬がわずかに上気している。

「胡桃。手、出して」

はっきりしない頭で右手を差し出す。

「違う。左手がいい」

左手を差し出しなおす。

「ん」

左京くんは私の手に顔を近づけ、キスを落とした。

そして今度は私の手を持ち上げる。

薬指が撫でられる。

ペロリと舐められたかと思えば次の瞬間、私の薬指は左京くんの口の中に隠されていた。

「っ、」

指の根元に痛みが走る。

左京くんの歯が私の指に食い込んでいる。

痛いはずなのに嫌じゃなくて、むしろ嬉しい。

引き始めていた熱が再び帰ってくる。

左京くんは私の薬指をゆっくりと離した。

薬指の根元の周りにできた赤い痕が存在を主張している。

左手の薬指。

意味がわかった私は今まで以上に赤くなった。

「本物は大人になってから、だから」

今が生まれて1番幸せだ。
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