シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~
 あのときはこんな未来が待っているなんて思いもしなかった。
 会社の新年会のあとの2次会だったけど、まさか出会うこともないだろう人と出会ってしまうんて、運命ってわからない。
 明人さんと出会ってなかったら、今も私は男の人と接点がなく、キスすら知らないだろう。

 たくさんのことを彼が教えてくれた。
 私の人生を変えてくれた人。
 そしてこれからも、私の人生は彼とともにある。

「マスカット、美味かったね」
「私はひとつも食べてないです」

 布団の中でごそごそしながら彼は私にぴったりくっついて私の頬や額にキスをしてきた。

「味見しただろ」
「……ちゃんと、食べてない」
「わかった。次は直接食べさせてやるから」
「フツーに食べたいんです!」

 夫が極甘すぎて私の身がもたないかもしれない。
 それでもたまらなく幸せなのは、私もそれを望んでいるから。

「いただきます」

 彼はそう言って今夜も私を離さない。
 甘い甘い夜はまだまだこれから――。

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