シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~
「あの人のやりそうなことだなあ」
「浅井さんもよくご存じなんですね」
「うん、まあ……すごく我が強いというか、自分大好きな人だからさ」

 浅井さんが困惑するくらいだからきっと相当すごいんだろうなって思う。でも、カフェで話したときの彼女のことを思い出したら、それもわかる気がする。

「芦田さんはまだ明人さんに未練があるんですね」
「いやいや、そんなことないよ。だって振ったのはあの人だから。穂高さんは振られたほうだよ」
「えっ!?」

 それは意外だった。
 だってあんなに明人さんのことを自分がよく知っているみたいな言い方をして私にマウントとっていたのに。

「俺の勝手な想像だけどさ。あの人……あ、芦田さんね。彼女すんごいプライド高いんだよ。だから奥さんより優位に立ちたくてわざと言ったんじゃないかな」

 そうだろうか?
 あの態度はまるで今も明人さんに未練があるとしか思えないんだけど。

「俺が元カノの話を出したせいでごめんね」
「いいえ。その前から芦田さんにいろいろ言われていたので」
「そこ合点がいかないんだよなあ。海外勤務になるから自分から別れたって彼女が言ってたのに」

 浅井さんは本当に不思議そうに首を捻っていた。
 その夜、私は夕食の準備をしながら優菜と電話をした。

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