シェフな夫のおうちごはん～最強スパダリ旦那さまに捕まりました～
「こっちから申し込む予定だったのに先に言われちゃったからね。君は本当に突拍子もないことをするなあ」

　明人さんが笑っている。
　衝撃と喜びで私は泣きそうになってしまった。
　すると、彼が私の頭を撫でて言った。

「でも、君のそういう素直なところがたまらなく好きだな」

　どきりとして胸がぎゅうううっと痛くなった。

　ああ、こんな気持ち初めて。
　それに明人さんの手は大きくてあったかい。
　急に恥ずかしくなってきて彼とまともに目を合わせることができなくなった。

「よかったら記念に写真でも撮らない？」
「は、はい。ぜひ！」

　まさか明人さんが写真撮ろうって言ってもらえるなんて。
　男の人ってそういうのがあまり好きじゃないと思っていたのに。

　私は公園の花壇の前に立ち、彼のスマホで写真を撮ってもらった。
　そして私も彼の写真を撮った。
　もちろん、ふたり一緒の写真も撮った。
　恋人同士のデートってこんな感じなんだ。

　私は思いがけず明人さんの写真を手に入れることができて、その日は幸せな気持ちで帰宅した。
　そして夜になると寝る前に彼と電話をした。

　まさか、こんな未来が待っているなんて思いもしなかった。
　だけど、事態はさらに急展開を迎えることとなる。

< 16 / 53 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop