シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~
「えー、それは……どうしようかな」

 明人さんは困惑の表情で固まった。
 まさかの反応に私は愕然とした。

 どうやら失敗したみたいだ。
 明人さんはそのつもりはなくて、ただ私と食事をしたかっただけだったんだ。

 恥ずかしいし泣きそう……。
 だけどここは社会人らしくきちんとした振る舞いをしなきゃ。

「ごめんなさい。冗談です。忘れてください」

 少し声が震えた。
 私ってほんとどうしようもない。
 今まで男性と食事に行ったことがないから、勘違いしてしまったのかもしれない。

「そろそろ日が暮れてきたし、私帰りますね。今日は本当にありがとうございました」

 ぺこりとお辞儀をして、彼の顔をあまり見ないようにして立ち去ろうとした。
 そうしたら、明人さんにいきなり腕を掴まれてしまった。

「待って。まだ俺の返事をちゃんと聞いてないよ?」
「えっ……だって今」

 驚いて瞬きも忘れるくらい明人さんの顔を見ていると、彼は困惑の表情で頭をかいた。

「彼女候補じゃなくて、彼女になってほしいんだけど」
「へっ……!?」

 思わぬ言葉にすっとんきょうな声を出してしまった。

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