《更新中》エリアーナの結婚 ~ 落ちこぼれ地味っ子令嬢は侯爵家令息の愛され妻?!私、お飾りのはずですが…?
 盛装のままの少年は目の前にある愛らしいものに腕を伸ばし、頬を流れる涙を指先でそっと拭った。
 少女を見つめる青灰色の眼差しが、途方もなく優しく揺れる。

 「僕の大切な婚約者(エリアーナ)が怪我をしなくて良かった」

 「私が、大切……? アレクシスさま……? そんなはずがありません……」

 少年の笑顔の先にある、この違和感はなんだろう——…


 「泣かないで。僕の可愛いエリアーナ」


 …——アレクシスさまが、私を『可愛い』だなんて。そんなはずがありません……っ!

 突然に強い風が吹いて、野花の白い花びらが雪のように舞い上がる。

 視界に(もや)がかかったようになり、少年の微笑みは花吹雪のなかにとけていった。


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