君のことがずっと好きだった・・・今度こそ君を守る
「咲ー!!」
廉は暗い校舎に入り、叫ぶ。
咲の教室に行ったがいなかった。おそらく忘れ物なんてしてないのだろう。廉は校舎内を走る。
階段を降りると、咲の小さな背中が見えた。

「咲、大丈夫か。」
廉は咲の隣に行って、座る。

「廉・・・。なんでここにいるの?」
涙声でつぶやく。

「真由ちゃんと会って、咲が戻ってこないって聞いたから探しに来た。もう大丈夫だから、1人じゃないよ。」
廉はそう言って、咲の震える手を握る。

「私は1人で大丈夫だから、廉は帰って。」

「置いて帰れるわけないだろ。心配した。」
廉は咲の目をまっすぐ見て言う。

「やっぱりまだ夜は怖いか?」

「うん。もう4年くらい経つのに全然克服出来てないんだ。ダサいよね。」
咲はうつむいて話す。

「ダサくなんてない。そんなすぐ克服出来ることじゃないだろ。それに1人で通学出来るようになってるじゃん。咲は頑張ってるよ。」

「ありがとう。」
咲はそう言ってポロポロ涙を流した。

「お父さんと住んでるんだよな?連絡したか?心配してはるぞ。」

「お父さんは今日、出張で遅いんだ。だから、連絡してない。」

「遅くなること話してなかったのか?」

「お父さん、私のせいで1度仕事辞めたんだ。だけど、また戻ってこいって上司から連絡来て、この春から復帰したの。お父さん頑張ってるから、邪魔したくない。これ以上迷惑かけたくないの。」

「そうだったんだ。咲が引っ越したのはお父さんの仕事の転勤なんだとばっかり思ってた。」

えっと咲は驚いた顔をする。

「どうかしたか?」

「いやなんでもない。」

廉は大地に咲がいたことを連絡する。咲を送って帰ると伝え、電話を切った。

「咲、そろそろ帰ろうか。今日は送っていく。俺の自転車の後ろに乗って。怖かったら、目をつぶってたらいい。なにかあったら、すぐ自転車止めるし。」

「そんなん悪いよ。私重いし・・・。それに家まで結構距離あるよ。」

「毎日鍛えてるから、大丈夫。それに咲細すぎ。ちゃんと食ってんのか心配になるレベルだわ。」

「じゃあお願いしてもいい?」

「もちろん。行こう。」
そう言って、廉は手を繋いだまま歩き出す。咲は恥ずかしくなって、外そうとすると、より強く握られた。

「手繋いでる方が安心だから。」
そう言って廉はほほえんだ。
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