憧れの副操縦士は、許嫁でした~社長の隠し子CAは、パイロットにすべてを捧げられる~
「櫻坂には有名店が軒を連ねているが――興味はなさそうだな」
「ゼロの数がぱっと見数えきれないほどたくさんある店など、入りたくもないわ」
「結婚指輪は、キャプテンの交流がある有名ブランド店で好きなデザインをオーダーメイドするようにと……」
「いくらすると思っているのよ!? 指輪なんていらないくらいなのに……!」
「……いらないのか」
「あまり、いい印象がないのよ」
幼い頃、お母さんは辛いことがあるといつだって、父親から貰った指輪を撫でていた。
大丈夫だと、自分を安心させるように。
その姿を見て育った私にとって、あれは女を縛る首輪のようにしか思えなかったのだ。
離れていたとしても逃れることなど許されないと、存在を主張している枷のような……。
「俺がその悪い印象を、いいものに塗り替えると誓っても?」
「あなたと結婚する意思がないのだから、議論するだけ無駄でしかないと思わない?」
「……わかった。その気になったら、ほしいデザインを考えてくれ」
「そんな日は一生来ないわ!」
「いつか訪れる日が、楽しみだな」
クツクツと声を殺して笑った航晴はベリが丘駅構内を抜け、BCストリート前で立ち止まる。
「右側はビジネスエリア。ラグジュアリーホテルやシンボルタワーが有名なオフィス街だ。今日の夕食は、ツインタワーのレストランで夜景を見ながら楽しもうと思っていたが……」
「絶対嫌」
「ああ。無理強いするつもりはない。またの機会にしよう。夏の花火大会は、最上階の展望台から……」
「まだ春なのに、もう夏の話?」
「四か月なんて、あっという間だぞ」
「どうかしら……」
これから毎日のようにキャプテンと自宅で、航晴とは四六時中顔を合わせることになると思ったらうんざりするけれど……。
数か月先のことなんてわからない。
なるようにしかならないのだから、この話題を続けるべきではないでしょうね。
「休みを取って……」
「真正面は、港や海があるのでしょう。なら、左側は?」
「サウスエリアだ」
「例の公園がある場所ね」
「ああ。海を近くでみたいなら、車でサウスパークへ……」
「ねぇ。あの建物は?」
言葉を遮り、大きな商業施設らしき建物を左手で指差す。
彼は不満そうだったけれど、質問には渋々応えてくれる。
「ゼロの数がぱっと見数えきれないほどたくさんある店など、入りたくもないわ」
「結婚指輪は、キャプテンの交流がある有名ブランド店で好きなデザインをオーダーメイドするようにと……」
「いくらすると思っているのよ!? 指輪なんていらないくらいなのに……!」
「……いらないのか」
「あまり、いい印象がないのよ」
幼い頃、お母さんは辛いことがあるといつだって、父親から貰った指輪を撫でていた。
大丈夫だと、自分を安心させるように。
その姿を見て育った私にとって、あれは女を縛る首輪のようにしか思えなかったのだ。
離れていたとしても逃れることなど許されないと、存在を主張している枷のような……。
「俺がその悪い印象を、いいものに塗り替えると誓っても?」
「あなたと結婚する意思がないのだから、議論するだけ無駄でしかないと思わない?」
「……わかった。その気になったら、ほしいデザインを考えてくれ」
「そんな日は一生来ないわ!」
「いつか訪れる日が、楽しみだな」
クツクツと声を殺して笑った航晴はベリが丘駅構内を抜け、BCストリート前で立ち止まる。
「右側はビジネスエリア。ラグジュアリーホテルやシンボルタワーが有名なオフィス街だ。今日の夕食は、ツインタワーのレストランで夜景を見ながら楽しもうと思っていたが……」
「絶対嫌」
「ああ。無理強いするつもりはない。またの機会にしよう。夏の花火大会は、最上階の展望台から……」
「まだ春なのに、もう夏の話?」
「四か月なんて、あっという間だぞ」
「どうかしら……」
これから毎日のようにキャプテンと自宅で、航晴とは四六時中顔を合わせることになると思ったらうんざりするけれど……。
数か月先のことなんてわからない。
なるようにしかならないのだから、この話題を続けるべきではないでしょうね。
「休みを取って……」
「真正面は、港や海があるのでしょう。なら、左側は?」
「サウスエリアだ」
「例の公園がある場所ね」
「ああ。海を近くでみたいなら、車でサウスパークへ……」
「ねぇ。あの建物は?」
言葉を遮り、大きな商業施設らしき建物を左手で指差す。
彼は不満そうだったけれど、質問には渋々応えてくれる。