魅惑の絶対君主


指とは全然違う……。


鎖骨から順番に下のほうに向かって施されていく。

いつの間にか胸元が空気に晒されていた。



「さがらさん、っ、待って……やぁっ」


ストップの声を聞いてくれないと困る。

でも、この状態で放置されるのはもっと困る。



相楽さんが触れるところ全部気持ちよくて、もっと欲しくなって……。


「待って」と口では言いながらも、本当は求めていることに気づいてる。


唇と指先で同時に触れられると、もう何も考えられなくなるくらい甘い感覚が広がって。

このまま……流されてしまえば楽なのに。


そんなわたしを、どこか遠くから、もうひとりの自分が冷たい目で見つめていた。



みっともない。

見苦しい。

はしたない。

ただの道具なのに。商品なのに。


男の人手で、こんなに簡単に落とされて。


勘違いしてない?

あなたは

──“ 愛されてるわけじゃないんだよ “。



そして、こんなあなたが、誰かに


──“ 愛されるわけがないんだよ ”


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