魅惑の絶対君主
地下競売場





“寄り道”って、普通は聞くとわくわくする単語だと思う。

例えば、放課後「今日は寄り道していこう」って恋人に言われたら絶対ときめく一択でしょ。

……無論、恋人ができたことなんてないけど。


それがどうしたことか、相楽さんが口にするだけで戦慄が走る。



挙句、次の信号で目隠しまで付けさせられた。




「あの……寄り道って、どこに向かってるんですか?」

「バカだな。なんのための目隠しだと思ってんの」


「あ……ぅ」

「……。三ヶ月後のお前がどうなってるか、見せてやろうかなと思って」


「三ヶ月後のわたし……」

「そう。商品だって自覚をしっかり持ってもらわないと困るから」



淡々とした物言いに身震いをする。

全身が粟立ってしかたない。


次、信号で止まった瞬間にシートベルトを外して逃げよう、かな……。

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