幼なじみは狐の子。
5䄭風の家



 教室。 20分休み。


「新田さん、この間借りた本、ありがとう。とっても面白かったよ。いつ返したら良い?」


 ロッカーに教科書をしまいながら、䄭風が尋ねた。


「いつでも良いよ。気が向いた時に返してくれれば。」

「冒険小説のあの筋で、船が出てくるのは知ってたけど、その船が空を飛ぶとは思わなかった。」

「名作だよね。」

「ラストで主人公達が合流するのが感動的だった。華やかになって良いシーンだと思う。もう一回読もうかな。」


 䄭風は、ロッカーに寄りかかって、教室の後ろの花に水をやっている恋を見下した。

 
「新田さん、今度の日曜、僕の家に遊びに来ない?」

「お家に?。お邪魔して良いの?」

「うん、是非。前に言ってた絵も見せたいし。大判のきれいな絵だから、多分気にいると思う。専門店のケーキをご馳走するよ。専門店の紅茶も一緒に。」

「行っても良いなら。」


 恋はジョウロを置きながら遠慮がちに言った。

 䄭風はにっこり笑うと、ロッカーから背中を離した。


「良いに決まってるよ。歓迎する。僕の家を見て貰いたいんだ。」


 その後、恋と䄭風は小説の話を少しした。




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