クールな海上自衛官は想い続けた政略妻へ激愛を放つ
 なんとか聞き返した俺の腕の中で海雪は顔を上げ、そっと微笑んだ。

「式場を決めるとき、ドリンクを買ってきてくださったでしょう?」
「あの、甘いやつか」

 一番俺が恋心を拗らせて暴走していた時期だ。ちょっと恥ずかしくなりつつ聞けば、海雪はこくんと頷く。

「私の話を、聞いていてくれたんだなあって。……ここにいていいと、言われているような、そんな気持ちになりました」

 海雪の目が潤む。

「大好き。柊梧さん、私を」

 海雪の声が震える。

「こんな私を、愛してくれて、ありがとうございます」
「俺の、ほうこそ」

 海雪の頬に手をあてる。温かさに、確かに海雪がここにいるのだと強く感じる。

「俺の方こそ……っ」

 無我夢中で、唇を重ねる。
 愛おしい思いだけが、降り積もる。
 きっとこの想いは、死ぬまで降りやむことはない。

「どうかいつまでも、そばにいて」

 俺の言葉か、海雪の言葉だったのか、もう判然としない。蕩けるような青と白い光のなかで、俺たちはそっと微笑み合い、唇を重ねた。

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