クールな海上自衛官は想い続けた政略妻へ激愛を放つ
 月がないため、星がひとつひとつ、くっきりと眩く見える。
 雪のように、天から降ってきそうなほどの星々。視界のすべてが星屑に覆われる。
 ぽん、と艦ごと宇宙に投げ入れられたかのよう。

 海雪に見せたいと思った。

 そして伝えたいと、はっきりと思った。それくらい、いつだって君のことを考えているのだと。
 帰ったら、伝えよう。愛していると、はっきりと素直に。
 子供じみた照れや羞恥なんて投げ捨てて、好きになってくれと懇願しよう。政略結婚なんかじゃない、君を手に入れるためだったのだと正直に謝ろう。




 そう決意して、一か月と少し。
 じきに日本が見えてくる、それくらいの距離で俺は思ってもいなかった連絡を受け取る。

< 67 / 110 >

この作品をシェア

pagetop