運命の人、お待ちしています!
「祈くん、おはよう!」
「お、おはようございます。夢咲さん」

翌日、私は教室に着くと早々に祈くんの元へ。

「見て! 貰ったお守り鞄につけた!」
「あ、ありがとうございます。でも、恥ずかしいです」
「何で?」
「ぼ、僕が縫った物ですから」
「祈くんが⁉︎」

すごく器用なんだなぁ。
家庭科の成績が最悪な私よりずっと!

「うちの神社で販売しているお守りは僕と父が呪力を込めながら手縫いしてまして」
「なんか強そう! ドラファンの装備に出てきそう」
「ドラファン?」
「私の大好きなRPGだよー!」
「申し訳ないです。僕はゲームに疎くて」
「良いって良いって! そっかぁ、祈くんは器用な人なんだね」
「そんなそんな」

顔まっかっか。やっぱり照れ屋さんなんだなぁ。

「でもせっかく祈くんがくれたんだもん。大事につけるよ!」
「夢咲さんは僕を不気味がらないんですね」
「えっ?」
「前にお守りを渡したら捨てられた事ありましたから」
「だ、誰⁉︎ そんなひどい事する奴!」
「小さな頃の話ですから」

そっか、確かに祈くんを怖がる人もいるよね。
特殊な家柄すぎて。

「わ、私も手作りのマフラー捨てられた事ある」
「そうなのですか⁉︎」
「小学生の時に好きな人にあげたらね」
「僕なら手作りの物貰えたら嬉しいです! だって自分の為に一生懸命作ってくださった気持ちが嬉しいですから」
「すっごーくださいマフラーでも?」
「ずっと着けます。自分の為に誰かが頑張ってくれた事を無碍にするなんて有り得ないですから」

昨日和泉のやばい一面を見たからすごく祈くんが真っ白どピュアに思える!

「エルフ星詠……」
「はい?」

祈くんが良い子だっていう和泉の目は間違いなかったわけなぁ。
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