噛んで、DESIRE


吾妻くんと攻防戦を繰り広げながら夜な夜な作り上げた作品を眺める。

もう人目につく場所には自分の作品を置かないでおこうと思っていたのに、わたしは意志が弱い。


どうか今日が平穏に終わりますように……と心の中で強く願いながら澪子のもとへ駆け寄った。


「澪子、わたしたち午後に店番だよね?」

「うんそうだよ。午前は一緒に回ろうか!」

「そうしよう!」



澪子とどこのクラスに行こうかと考えながら、ちらりと吾妻くんの存在を確認する。

今日も朝からヘアアレンジに格闘していたわたしにちょっかいをかけてきていた彼は、眠そうに三原くんと話していた。


今日は、吾妻くんが好きな巻き髪をしてきた。

吾妻くんが好みだから、なんて理由は、彼には教えてあげない。


でも上機嫌でコテを回していたわたしを見て、薄々勘づいていそうだ。





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