噛んで、DESIRE

隣のお家の吾妻くん








「ちなみに、合法だから」



わたしの家に入った途端、そんなことを言い出した吾妻くん。

振り返れば、真剣な顔をしている……ように見える。


「合法……とは?」


あまりに脈絡がないおかげで、頭の中が大混乱中だ。

首を傾げると、吾妻くんは指で煙草を吸うような仕草をして言った。


「煙草。俺もうハタチだから合法なの」

「あ……20歳なんですか?」


「そー。留年2回もしてたら、いつのまにか歳とってたわ」


話を聞けば、どうやら先月つまり4月に誕生日で、まだ17歳のわたしより3つも年上ということになる……らしい。

留年2回というフレーズは聞き慣れすぎて、ちゃんと真実だということに驚きもしなくなってしまった。








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