噛んで、DESIRE



……ああ、もう泣きそうだ。

でもここで泣いたら台無しだ。


感謝いっぱいで涙を堪えて、なんとか笑みを作った。


「ありがとう……皆んな」


吾妻くんもわたしを励ますためにわざと気の抜けたことを言ってくれたのはわかっていた。

見えない優しさに、胸がぎゅっと苦しくなる。


彼が隣にいると、それだけで安心する。

彼が教室にいると、途端に雰囲気が明るくなる。


悲しい文化祭ではなく、優しい文化祭にしてくれたのは、クラスの皆んなだった。




文化祭のあと、うちのクラスが人気ナンバーワンだったと担任の先生から伝えられてみんなで泣いてしまったのは……言うまでもない。

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