好きだなんて、【完】
凪side
「凪、ちょっと来てくれるか」
そう社長に呼び止められたのは、しずくと約束をしている日
事務所での打ち合わせも終わって、そろそろ出ようとしていた時のことだった。
「分かりました。」
そう言わざるを得ない社長の真剣な表情
いつもわりと穏やかで、優しい顔をしたおじさんなのに。
社長室に入ると俺のマネージャーもいた。
ただならぬ雰囲気を纏う空間に、鼓動が早くなった。
「これ」
差し出されたタブレットに映し出された添付ファイルに言葉を失う
「え、」
「今朝、週刊誌記者から送られてきた」
…なんで
「この子、つららの妹のしずくちゃんだろ?」
週刊誌に撮られたのは、しずくと俺が地元を歩く姿
…本屋で会った時に追いかけて行って一緒に帰った時のものだ。
「そうです。…ただ一緒に歩いてただけで」