【完結】好感度-100から開始の乙女ゲーム攻略法 〜妹に全部奪われたので、攻略対象は私がもらってもいいですよね〜

15.攻略の最後のピース

 
 ゲームの移動機能で瞬間移動し、気づくとロアンのタウンハウスの前に立っていた。
 街の住宅の中でもひときわ大きくて立派な3階建ての建物。白い壁にいくつもの窓が並び、屋根はオレンジ色の洋瓦が載っている。
 ロアンが学園に通うために、数人の使用人と暮らしていると聞いているが、それにしては大きすぎるくらいだ。

 玄関ベルを鳴らすと、年老いた執事が出迎えてくれた。

「突然お邪魔して申し訳ございません。ロアン様と同じ学園に通う、ルサレテ・ナーウェルと申します。ロアン様が一週間お休みしていらっしゃるので、気になって様子をうかがいに来ました」
「ああ、ルサレテ様ですね。いつも坊っちゃまから話をきいておりますよ。さ、中へどうぞ」
「あ、ありがとうございます。でも、ロアン様に確認しなくても大丈夫ですか?」
「坊っちゃまもきっとあなたとお会いしたいはずです」

 にこにこと愛想よく微笑んだ執事は、ロアンの私室へと案内してくれた。
 長い回廊は、靴が埋まるくらい毛先が長い絨毯が敷かれ、両側の壁に高そうな絵画や壺が飾られている。
 彼の私室の出入口は一番大きな扉だった。
 豪奢な天蓋付きの寝台に、ロアンがひとり寝ていた。

「坊っちゃま。お友達がお見舞いに来てくれましたよ」

 しかし、執事の言葉に返事はない。どうやら深く眠っているようだ。睡眠を妨げては申し訳ないと思い、見舞いの品を置いて帰ろうとするが、「ゆっくりしていってください」と言った執事がルサレテを残して部屋を出て行ってしまった。
 ルサレテは、持ってきたフルーツをロアンの寝台横のサイドテーブルに置いてから、椅子に腰を下ろした。
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