御曹司は高嶺の花に愛を刻む
「菜由。俺を知りたいか？」

こんな事言って、何の意味があるのか。

彼女は、瞳を揺らす。

「俺という人間が、どういう人間か、興味あるか？」

すると彼女はクスッと笑った。

何を言い出すかと思い、待っていれば

「私に、知って欲しいの？」

ククククッごもっともだ。
ただ、コイツには、見た目だけじゃなくて、俺という人間を見てほしい。
そう思った。

「ははは。そうだな。どうだかな」

「私、見た目に騙されないわよ？」

彼女はそう言って、クスリと妖艶に微笑み、挑発的な顔を見せた。

そんな事言う女は初めてだった。

むしろ、見た目に騙されずちゃんと"人"を
見極める。

そういう女だって事だよな？

さすがと言うべきか。


「ははは！俺もだ。お前を何も知らない」

「知りたい？」

「ああ。全部教えてくれるか？」

何を言ってるんだか。

そして、彼女がまた笑った。

「それじゃ、あなたも見せて。他の人と違うってところ。私に見せて」

"私を、落としてみろ。やれるものなら"

そう言っているように見えた。
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