御曹司は高嶺の花に愛を刻む
運命の悪戯とは、この事を言うのだろうか。

お袋から経緯を聞いた翌日。

俺は、お昼からの打ち合わせに向かう為、設楽と車に乗るため、エントランスに出た。

今日は風が強いな。

なんて思っていれば、あんなに会いたいと思っていた菜由が、あっさり俺の前に現れた。

男と2人で肩を並べて歩いてエントランスを出て行く。

は?

うちの社員だったのか!?
あいつ、俺が副社長だって事知ってたか!?
いや、絶対知らないよな!?

訳もわからず、慌てて、設楽を置いて追いかけようとしたその時、2人は事もあろうか、
昼休みで人も大勢いる中、立ち止まってキスをした。

菜由を見れば、男を見上げて、目に涙を浮かべて笑っているではないか!?

男がいたのか!?


どういう事か全く理解出来なかった。
勝手に、いないものだと思っていた。


なのに、気づけば俺は、菜由の元に既に走って向かっていた。

"逃すな" "今"を

と本能が俺の足を動かしていた。
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