私は甘すぎる溺愛から逃れる方法を知らない
小さい頃、身体が弱かった。

入院して、薬を飲む時間が嫌いだった。

子供の頃は、苦い薬なんて苦手なのは当たり前かもしれない。

それでも、私は今も薬が苦手だ。

あの頃の記憶が嫌でもフラッシュバックする。



『お前、人に迷惑かけて楽しい?』



ある思い出が頭をよぎった瞬間、薬を持つ手がさらに震えたのが分かった。



「大丈夫ですか?」



急に優しい声色が聞こえて、私は顔を上げた。

スラっとしたスタイルの良いスーツの男性が私を心配そうに見ている。
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