私は甘すぎる溺愛から逃れる方法を知らない
薬を手に乗せれば、手が震え始める。

ちゃんと一人で飲める。

大丈夫。

ただ怖いだけ。

頑張れば済む話。

私は震えた手をぎゅっと自分で握りしめた後、薬を飲み干した。

その瞬間……



私の手を後ろから急に誰かが強く握った。



「亮弥さん……!?」



「なんで俺を呼ばないの?」

「え?」

「いつでも頼ってって言ったよね。戻ってきたら、君の手が震えているのを見てどれだけ焦ったと思う?」

「だって、毎回亮弥さんに頼るわけには……」



「玲乃は昔から絶対に俺を頼ってくれない」



昔から?

所々《ところどころ》感じていた違和感が確信に変わる。


「亮弥さん、やっぱり私たちは昔会ったことがあるんですか……?」


私のその言葉を聞いて、亮弥さんは苦しそうに微笑んだ。


「本当に会ったのは一回だけ。だから、玲乃が覚えてないのも仕方ない」


「……ちゃんと説明して下さい」


「初めて会った公園に行こうか。折角だから、あの場所で話したい」


亮弥さんにそう言われ、私たちはあの公園に向かった。
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