気高き敏腕CEOは薄幸秘書を滾る熱情で愛妻にする
「今回の手土産は何がいいのかな。咲良さんだったらどうやって決める?」
「接待の際の店の選択や手土産は、相手の好みに合わせます。喜んで貰えると雰囲気がよくなり、商談にも影響しますから。情報収取はSNSなどでも出来ますが、実際お会いしたときに得る情報が一番強いです。それを踏まえて今回の手土産はチョコレートを選ぶといいと思います」
 咲良は郵便物の仕訳の手を止めないまま、羽菜に自分の意見を述べた。
 郵送した社屋移転案内が宛先不明で戻って来たものや、旧住所から転送されたもの。全部署分を纏めて分けているので結構手間がかかる。
「どうしてチョコレート? 高級な和菓子とかの方が無難じゃないの?」
 羽菜も同様に手を動かしつつ首を傾げる。
「実は今回訪問するHARADAの部長とは、前職のときにお会いしたことがあるんです」
「そうなの? 転職先でも関わるなんてすごい偶然」
 羽菜が咲良は頷く。颯斗から今度HARADAの流通管理システムを請け負うと聞いたときは驚いたものだ。
「と言っても取引が有った訳じゃないんですけど、一度だけ食事の席でご一緒したんです。そのときの部長の様子から和菓子よりもチョコレートだと断言出来ます」
 あのとき、バニラアイスにチョコレートソースをかけたデザートを、非常に気に入っていた様子だったのだ。
「それならチョコレート以外の選択はないね。明日買いに行こう。でもどこのがいいかな」
「手土産に渡すものだから会社で部下に配ったりするかもしれないですよね。切る必要があるようなチョコレートケーキなどは避けて個別包装になっているのがベストです。いくつか候補があるので後で情報送りますね」
「分かった。会食が明日の七時だから、午後に買い出しに行けばいいかな?」
「人気の品は完売していることがあるので、お昼前に行った方がいいかもしれないです」
 羽菜は了解と言い、明日のスケジュールの午前十一時に買い出しの予定を入力する。
 このように入れておくと、この時間には仕事を頼まれなくなる。
「買い出しはふたりで行きましょう。そのとき今後使えそうな店を教えて?」
「分かりました」
 羽菜は年齢もワタライワークスでの職歴も全て咲良よりも上なのに、柔軟に咲良の意見を聞いてくれる。
< 71 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop