恋の病に、堕ちてゆく。
「分かった。一生、誰にも言わないよ」

ドライヤーを止めて青波はそう言ってくれた。


「お願いします!」

髪の毛先をタオルで拭いてくれる。


「まあ俺は大きさとか気にならないけど…」

言うと同時に再びドライヤーが起動する。


「……」

騒音に紛れて、私は聞こえないフリをした。

それでも青波の言葉を頭の中で復唱してしまう。

気にならないのですか?
そう聞き返したくなる衝動を堪えて、大人しく髪を乾かしてもらった。
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