恋の病に、堕ちてゆく。
震えが止まらない。
カチカチと鳴る歯の音も自分では止められなかった。

すぐに青波と四季もリビングに入ってきた。

「怪我はないか?」

青波がそう聞いてくれたので頷く。

「本当に?」

「はい」

「青波さんも大丈夫ですか?」

大我が聞く。

「ああ。上には報告した。すぐに周囲を包囲してくれる」

「一体、なにがあったんですか?」

青波はソファーに座り、大我に一部始終を説明する。


「隣りの家に潜伏していたようだ。殺すことが目的だろう。こっちの居場所がどこから漏れたのかも、調べてもらってる。そう簡単には見つからないだろうが」

「乗り込みますか?」

「相手の人数も武器も分からないから危険だ。そこは応援の奴らに任せる」

腰を抜かしている私とは違い、青波はひどく冷静だった。


「それで?なんで逃げ出した?なんで、逃亡の手助けをした?」

青波は私と先生を交互に見る。嘘を許さない鋭い視線が、怖い。
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