ひとつのおむすびがきっかけで、凄腕救急医に溺愛されることになりました
焦っていることを誤魔化すかのように、商品棚に向かっておむすびを陳列する。商品をすべて並べ終えると開店10分前。

入り口の自動ドアからは、今日も相変わらず行列が見えた。


「今日も忙しそうだね」
「佐竹さん、今日も色々教えてくださいね」

「うん。今日はレジを練習しよう。私が横で見てるから」


「わかりました!」と、やる気満々の椎木さん。彼女は仕事の覚えもよく、礼儀正しい子だ。

高校生とは思えないくらい大人びていて、接客態度もよく、お客様受けはよさそうだ。

椎木さんと話しているうちに10時になり、入り口を開けると、あっという間に店内はお客様でいっぱいになった。

やっぱりお客様のお目当ては、塩おむすびなようだ。その売れ行きは〝瞬殺〟と言ってもいいほどで、一瞬で完売してしまった。

商品補充後も同じような感じで、閉店ギリギリまでお客様が出入りしていた穂乃香おむすび。閉店時には、私も椎木さんもクタクタだった。


「2人ともお疲れ様」


明日の準備を終えた樹さんが、差し入れにとアイスコーヒーを手渡してくれる。それを受け取り、アイスコーヒーを喉へと送ると、疲れが柔いだような気がした。

今日も1日忙しかったけれど、あっという間の1日だった。
< 50 / 51 >

この作品をシェア

pagetop