ひとつのおむすびがきっかけで、凄腕救急医に溺愛されることになりました
一息ついたところで樹さんにお礼を伝え、ロッカールームへと向かう。バッグの中にあるスマホを確認すると、1件のメッセージが入っていた。


『お疲れ様。お店の近くまで迎えに来てる』


あ……そういえば、この後蒔田先生とディナーの約束をしていたんだっけ。彼は仕事が休みだから、19時目掛けて迎えに来てくれたんだ。

でも……


「どうしよう」


今日は、想像以上に疲れてしまった。

お店がここまで忙しくなるとは思っていなくてお誘いを承諾したけれど、身体はクタクタだ。こんなに疲れていては、せっかくのディナーも楽しめないかもしれない。


「椎木さん、お疲れ様。そろそろ帰るね」
「あ、お疲れ様でした」


「デート、楽しんできてくださいね〜!」と、明るく見送ってくれる椎木さんに手を振って、お店を出た。そして蒔田先生が待つ車へと近付くと、私に気が付いた彼は運転席側の窓を開けて、「陽菜」と名前を呼んでくれる。

運転席から降りた蒔田先生は私に近付くと「お疲れ様」と、白い歯を見せて笑う彼。その優しい笑顔に安心したのか、全身の力が抜けたような気がした。


「お疲れ様です」
「陽菜こそお疲れ様。さぁ、乗って」


当然のようにして私の手を取ると、助手席側まで回ってくれる蒔田先生。
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