先生!見ちゃダメ!
「お邪魔しまーす…」
さっきまでの勢いはどこへ行ったのやら、私は急に少し不安になってしまい、恐る恐る玄関に足を踏み入れた。
千晴くんママのそわそわした様子が奥の方に見えて、少し気恥ずかしくなる。
千晴くんママにも、私の気持ち、バレてたりして。
不安になって千晴くんを見上げると、“ん?”となにも気にしていないような優しい声で首をかしげていて、安心したような寂しいような複雑な気持ちになった。
「ううん、なんでもない。…千晴くんち来るの久しぶりだから、少し緊張しちゃうな、って」
「そんなの気にしなくていいのに…って言いたいとこだけど、実は俺もちょっと緊張してる。部屋汚いとか思われないかなって」
“普段からできるだけ綺麗にはしてるけどね?”って焦ったように付け足す千晴くん。
そんなセリフですら、愛しさを覚えてキュンとした。重症だ。
「千晴くんの部屋入るのも久しぶりだ」
「面白いものなんもないよ?」
“期待しないでね?”と眉を下げて微笑む千晴くん。千晴くんがよくするこの表情も、実は結構すきだ。