先生!見ちゃダメ!
少女漫画でよくある、お互いの家を行ったりきたりとかもない。千晴くんは大学生。生活リズムも違う。
今では回覧板を届けにきてくれた時くらいしか会えない。
「私はただ、また昔みたいにたくさん話せたらいいなって思ってるだけで。…学校がそのきっかけになったら、ってくらい、なのに。…千晴くんが人気者すぎて、きっかけ作りすらできない」
「まあ、あの顔と性格じゃーね」
当たり前だよねーと相槌を打つ彼女。私の傷は抉られた。…少しくらい慰めてくれたりしないのか。千晴くんがカッコいいのはそうなんだけども。
わかってる。昔仲が良かったからって、今も好意的でいてくれているとは限らない。それは百も承知。
でもやっぱり、恋する乙女は少しくらい夢を見たい生き物でもあるわけで。
「欲張りなのかな…」
「そんなことないと思うけど。仲良かった人とまた仲良くなりたいってことでしょ?恋愛感情抜きにしても、別に変じゃないよ」
「え、優しい…」
「私はいつも優しいよ」
急にかけられた優しい言葉に驚きを漏らすと、一ミリも納得できない答えが返ってきたけど、視線でだけ抗議した。