先生!見ちゃダメ!
たしかに千晴くんはカッコいいし、なんでも揃ってて完璧ではあるけど。
別に完璧だから好きになったわけじゃない。
「完璧だから、とかじゃなくて、気付いたら好きだっただけだし」
「ハイハイ。でも実際、身近にあんなのいたらハードル上がりそう」
「あんなのとか言わないで」
千晴くんをモノ扱い…みたいな。元より口が悪いだけの彼女にそんなつもりはなかったんだろうけど、少し癪に障った。
彼女も彼女で自覚があったようで、“あ、ごめん”と、いつもより少し申し訳なさそうにしていた。
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私と千晴くんの出会いがいつだったのか、正直本当に覚えていない。小学校に入るときには既に仲がよかったと思う。
呼び方も昔から変わらない。“ちはるくん”と“かれん”。幼稚園であまり仲が良い子がいなかった私は、千晴くんにそれはそれはべったりだった。
小学校のときは、決して賢くなかった私に勉強を教えてくれることも日常茶飯事だったし、バレンタインのチョコレートだって毎年渡せていた。
いつから本命だったのかはわからない。私が小学校を卒業するまで、千晴くんが中学生になったあとも、ひっそりポストに入れていた。