たとえば、こんな人生も②
ふたりが真剣な表情で厳選した衣装
それを着たのは何故か私


ふたりが校内を散策中
偶然見かけたという、この場所

自分が着ると言う
選択肢は始めからなく

見かけた可愛い衣装を
私に着せて写真を撮りたかったのだと言う



「…」


自分が身にまとっている
フリルとレースがたくさんのメイド服
(猫耳つき、スカート長め)を見おろしながら

姉さんは、本当にかわいいものが好きだな

なんて考える

最初はうさぎの着ぐるみだったし


姉さん達は繰り返し繰り返し
かわいいと連呼するけど
正直、私はあんまり
自分にはこういう可愛い服装は似合わないと思ってる

千夏ちゃんが言うように
莉央ちゃんみたいな人にこそ、似合う言葉だ



「「最後はこれ!!」」


悩みに悩んだ末に
仲良く声を揃えて
掲げた衣装を私に手渡すふたり


「…わぁ…」


受け取りながら
なんとも言えない声が出た



……これは、なかなか



姉さん達が選んだのは
赤と白を基調としたロリィタ風のドレス

今着てるメイド服よりも
フリルやレースも増し増しで
細かなところまで刺繍が施されている

本当に同じ高校生が作ったのかと疑うくらい
凝った造り


……これを着るのはちょっと…
壊したり、汚したりしちゃったら怖いし…


あまりに立派と言うか、完成度の高い
その衣装を着るのは、さすがに気が引けて


「…あの、アリサ姉さん、美冬ちゃん…」

「「ん?」」



……。



断ろうとしたけど
ふたりが、とてもきらきらとした目で
生き生きとした表情を浮かべるものだから



「…着替えます」



期待を裏切るような真似はできず
諦めて、私は試着室のカーテンを閉めた
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